地域共生社会の復権と老健
〜デジタル化時代の絆〜
令和5年11月21日・22日の2日間、宮城県仙台市にて第34回全国介護老人保健施設大会 宮城が開催された。「地域共生社会の復権と老健−デジタル化時代の絆−」をテーマに掲げた本大会は、本来、令和2年の開催予定であったが、2020年以来の新型コロナウイルス感染症パンデミックにより延期され、この度、晴れて3年ぶりの大会となった。この間、全国各地でのクラスターの発生や物価高騰等による経営環境の悪化など、老健を取り巻く環境は厳しさを増してきている。
こうした中、本大会は全国の老健で働く職員や経営者など関係者3,000人が、東日本大震災から復興を遂げた宮城県仙台市の会場に集まり、講演や発表、懇親会などを通じて、老健の将来を考え、夢や苦楽を語り合う重要な交流の機会となった。
「2024年制度・報酬改革への対応を団体トップに聞く」
〜地域医療構想、地域包括ケアの実現を目指した2025年改革シナリオの総仕上げ。
2040年に向けた医療福祉サービス提供体制改革のキックオフに向けて〜
財務省の財政制度等審議会は、2024年度予算の編成等に関する建議の取りまとめに向けた議論を開始した。今年11月1日に開かれた財政審財政制度分科会で財務省は、診療所が極めて良好な経営状況等を踏まえ、診療報酬本体をマイナス改定とすることが適当と主張した。一方、医療関係団体においては、昨今の物価高騰や賃上げに対応するため、本体部分の大幅な引き上げを求めており、年末の改定率の決定に向けた攻防が本格化する。
本号では特別企画「2024年制度・報酬改革への対応を団体トップに聞く」の第6弾として、日本病院会、全国自治体病院協議会、日本在宅療養支援病院連絡協議会、日本在宅ケアアライアンスの4団体のトップに、来年度のトリプル改定や制度改正、ポスト2025年の医療提供体制、40年の地域共生社会の実現への展望と政策提言について聞いた。
「2024年制度・報酬改革への対応を団体トップに聞く」
〜地域医療構想、地域包括ケアの実現を目指した2025年改革シナリオの総仕上げ。
2040年に向けた医療福祉サービス提供体制改革のキックオフに向けて〜
今年9月13日に第2次岸田再改造内閣が発足した。初入閣した武見敬三厚生労働相は翌14日の就任後初の会見で、来年度の診療・介護・障害福祉サービス等報酬のトリプル改定に関して「物価高騰、賃金上昇、経営状況、人材確保の必要性、患者・利用者負担、保険料負担への影響を踏まえ、患者・利用者が必要なサービスを受けられるよう必要な対応を行っていく」と表明した。年末の改定率の決定に向けて、武見厚労相の手腕が期待される。一方、中医協総会は10月4日から第2ラウンドの個別項目の議論をスタートした。
そうした中、本号では特別企画「2024年制度・報酬改革への対応を団体トップに聞く」の第5弾として、全日本病院協会、地域包括ケア病棟協会、回復期リハビリテーション病棟協会、日本慢性期医療協会の4団体の会長に、診療報酬改定、今後の改革への展望、国に対する政策提言について聞いた。
「2024年制度・報酬改革への対応を団体トップに聞く」
〜地域医療構想、地域包括ケアの実現を目指した2025年改革シナリオの総仕上げ。
2040年に向けた医療福祉サービス提供体制改革のキックオフに向けて〜
財務省は9月5日、各省庁が提出した2024年度予算の概算要求額を発表した。一般会計の要求総額は114兆3852億円となり、過去最大だった22年度の111兆6559億円を上回った。物価対策や少子化対策、24年度診療・介護・障害福祉サービス等報酬のトリプル改定への対応などは要求段階で金額を示さない「事項要求」で、24年度予算案の総額はさらに膨らむ可能性がある。今後、改定に関する個別項目の議論が本格化するとともに、改定財源をいかに確保できるか。激しい攻防も始まる。
そうした中、本号では特別企画「2024年制度・報酬改革への対応を団体トップに聞く」の第4弾として、日本介護支援専門員協会、日本介護福祉士会、日本ホームヘルパー協会、高齢者住宅協会の4団体の会長に、24年度の介護保険制度改正や介護報酬改定、40年に向けた改革の展望、国への政策提言について聞いた。
「2024年制度・報酬改革への対応を団体トップに聞く」
〜地域医療構想、地域包括ケアの実現を目指した2025年改革シナリオの総仕上げ。
2040年に向けた医療福祉サービス提供体制改革のキックオフに向けて〜
厚生労働省は8月2日に開かれた中医協総会のなかで、診療報酬改定DXの推進に向け、2024年度より診療報酬改定の施行時期を現行の4月1日から6月1日に2カ月後ろ倒しすることを提案し、了承された。薬価改定は例年通り4月1日に施行する。施行時期の変更や、診療報酬と薬価の改定時期のずれなど、医療現場に混乱が起きないよう入念な準備が求められる。一方、今年6月下旬より次期改定を巡る主要なテーマごとに審議が始まり、これまで外来、入院、在宅、感染症、小児・周産期などの第1ラウンドの議論が行われている。
そうした中、本誌の特別企画「2024年制度・報酬改革への対応を団体トップに聞く」の第3弾として今回、日本精神科看護協会、日本訪問看護財団、全国訪問看護事業協会、日本看護連盟の4団体の幹部に、24年制度・報酬改革ならびに40年に向けた改革の展望や国への要望、政策提言についてインタビューを行い、取りまとめた。
「2024年制度・報酬改革への対応を団体トップに聞く」
〜地域医療構想と地域包括ケア実現の2025年改革シナリオの総仕上げと
2040年に向けた医療福祉サービス提供体制改革のキックオフに向けて〜
政府は6月16日、「経済財政運営と改革の基本方針2023」を閣議決定した。24年度の診療・介護・障害福祉サービス等報酬のトリプル改定について「物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者・利用者負担・保険料負担への影響を踏まえ、患者・利用者が必要なサービスを受けられるよう、必要な対応を行う」と明記。一方で、財務省の財政制度等審議会は今年5月29日に取りまとめた春の建議(意見書)の中で「(報酬の)引き上げの必要性について慎重に議論を行うべき」とけん制している。
そうした中、本誌の特別企画「2024年制度・報酬改革への対応を団体トップに聞く」の第2弾として今回、全国老人保健施設協会、全国老人福祉施設協議会、日本介護医療院協会、認知症グループホーム協会の4団体の会長に、24年制度・報酬改革ならびに40年に向けた改革の展望や国への要望、政策提言についてインタビューを行い、取りまとめた。
介護革命
円滑な導入で1カ月目から現場に変化が見られ、3カ月現在で多くのスタッフが成果を体感している。
音声入力による記録時間の半減でゆとりが生まれ、直接ケアの増加で利用者、スタッフの満足度向上。
AI搭載の夜間見守りシステムによる安心とおむつ交換のない夜勤にスタッフは仮眠が取れ負担が軽減。
DX推進が法人のブランディングに繋がり、人材不足時代の定着促進や求人対策に寄与すると期待膨らむ。
ここまで来た介護DX推進 〜確かなものに〜
近年、新型コロナによるパンデミックを機に、介護分野においてもDXが進み、コロナ感染の低下とともに、展示会や先進DX施設の見学が活発に行われるようになった。これまで導入したいが現場の反発があって進められない。導入時職員もなれなく混乱し、逆に残業時間が増えてしまった。導入はしたものの思うように使いこなせず、軌道に乗ってないなど十分な成果が築けていない介護施設もあった。
そのような中、三重県津市にある「医療法人緑の風 介護老人保健施設いこいの森」では、介護記録の電子化、音声入力アプリ、映像によるAI搭載の夜間見守りシステム、インカム他の導入による記録時間の大幅短縮、残業時間の解消、転倒リスクの軽減、夜間の定期巡視の廃止、おむつ交換の無い夜勤体制の実現と夜勤配置職員の削減など、「介護革命」ともいえる介護DXの成果を築いたという。
このたび導入3か月目の現地を訪れ、その取り組みと成果を伺った。
【三重県津市】 医療法人緑の風 介護老人保健施設いこいの森
「2024年制度・報酬改革への対応を団体トップに聞く」
〜地域医療構想と地域包括ケア実現の2025年改革シナリオの総仕上げと
2040年に向けた医療福祉サービス提供体制改革のキックオフに向けて〜
2012年の「社会保障と税の一体改革」に基づく超高齢社会に対応した2025年改革シナリオは、2年を残し総仕上げの時期を迎える。しかし2025年は、あくまでも次のターゲットイヤーといわれる2040年に向けた通過点である。いよいよ本年は2025年をまたぎ第8次医療計画(2024年〜2029年)や第9期介護保険事業計画(2024年〜2026年)策定が行われるとともに注目の2024年診療・介護・障害報酬トリプル改定の審議が本格的に始まる。そこで「Visionと戦略」6月号の特別企画では、「2024年制度・報酬改革への対応を団体トップに聞く」をテーマに、医療介護業界の団体トップに、2024年制度・報酬改革ならびに2040年に向けた改革についての展望や国への要望、政策提言について取りまとめて紹介する。
「2040年の介護に向けて」
日本の介護の実力をアジア、世界へ発信。
次期改定、インフレ局面に対応する組み立て。
厚生労働事務次官
大島 一博 氏
「世界に類を見ない介護の実力がたまっている。これをいかに体系化し、あるいはIT化して、アジア、世界に発信できるか」。大島一博厚生労働事務次官は、日本介護経営学会(田中滋会長)が3月12日に東京都内で開いた第18回シンポジウムに登壇し、「2040年の介護に向けて」と題した基調講演の中でこう語った。1989年のゴールドプラン策定以降の30年余りを前半戦とし、今後30年を後半戦と位置付け、地域づくりやフレイル予防、就労支援、生きがい支援などの取り組みを強化し、全員参加型で未来志向的な発展に向けて政策を打ち出していくと表明した。24年度介護報酬改定への対応を巡っては、国内で賃金や物価上昇というインフレ局面へ変化する中、「これに応じた報酬改定の在り方を組み立てていく。その初回が次の改定という位置づけになる可能性がある」と述べた。
社会保障審議会介護保険部会が昨年12月20日に取りまとめた「介護保険制度の見直しに関する意見」には、地域包括支援センター(以下、包括)の相談業務や予防プランの一部を居宅介護支援事業所(以下、居宅)へ移行する改革案が盛り込まれた。この内容を受けた「全世代型社会保障制度関連法案」が今国会に提出され、審議入りする。本座談会では、予防プランの移行や今年4月からのケアプランデータ連携システムの運用開始、来年4月の居宅へのLIFE導入がどのような影響を与えるのかを討論し、居宅の今後の経営戦略を探った。
小濱介護経営事務所 代表
小濱 道博 氏
一般社団法人
日本ケアマネジメント学会 副理事長
白木 裕子 氏
全国地域包括・在宅介護支援センター協議会 会長
岡山県地域包括・在宅介護支援センター協議会 会長
青木 佳之 氏
東洋大学 ライフデザイン学部生活支援学科
准教授
高野 龍昭 氏
【司会】
保健・医療・福祉サービス研究会 代表 田中 優至